Umeko's diary

育児も仕事も大切。日々の出来事や、習ったことから得た気付きや学びを書いていきます。

ドライブ・マイ・カー:自分の心をのぞきこむためのきっかけ

映画「ドライブ・マイ・カー」を観てきました。

3時間は長いと思っていたけれど、そんなことは全くなかった。最初から丁寧に描いてきた、それぞれの背景や、傷や、内面があったから、メッセージが伝わる。見終わってしばらくたつのに、まだ心のどこかがこの映画のことに占められています。

 

以下、少しネタバレ含みます。

 

「本当に他人を見たいと望むなら、自分自身を深くまっすぐに見つめるしかない」

様々なストーリーが最終的にここに帰着する。

 

妻の不貞を問いたださなかった家福さん。自分の中の傷から目を背けて、だから自分が引きずり出されるワーニャ役が演じられなくなった。

わたしたちは他人(ときには自分)の行動について、みなかった振りをすることがある。思い通りにいかなかったことも笑ってやり過ごすことがある。「問い詰めるなんて子供っぽい」「他人は他人だ」と言い訳をしていても、本当に自分の心がそのことについて折り合いがついているのかは、確認しないといけない。正直な自分の心に向き合うのは怖いけど、自分にしかできないのだから。

 

そして高槻。

ちゃらくてゆるいところが、登場シーンからにじみ出ているが、実は自分をコントロールできない自分、からっぽの自分に焦燥を感じている。音さんとの記憶を家福に伝える中で、自分も自分に正直にならないといけないと再認識したように見える。

こういう焦燥ってあるなあ、自分が場違いだと感じる時。衝動に身を任すのではなく、自分の心に響いたことは細い糸であってもきちんと手繰り寄せて、何が自分を動かしたのかを追い求めることで、自分の心が大切だと感じるもののてがかりとなる。そして、自分がやったことには責任を取らなければならない

 

まだ消化しきれてないけれど、みて「あー面白かった」で終わるのではなく、それぞれの登場人物の生き方を、言葉を、自分に投影して考えることがこの映画の価値だと思う。考え続けてみたい。