ノーベル賞2020:バトンリレーが私たちの暮らしにつながる。科学者のモチベーション維持、すごい。
去年12月に放映された2020年ノーベル賞の特集を見ました。内容を忘れないように要約します。
素晴らしい発見も、成果につながるまでに数十年。みんなから「無理だ!」と言われる。それでも研究し続ける科学者、ほんとすごいです。
番組では3つの研究にフォーカスしていました。
1. 医学・生理学賞を受賞したC型肝炎ウィルス
肝臓がんの最大の原因、C型肝炎ウィルス。2011年時点で1億7千万人いた患者さんが今は8千万人まで減ってきている。以前は不治の病だったのが、治る病気になりつつある基礎を築いたのが今回の受賞者3名。
1人目は1970年代後半、A型・B型ではない肝炎を発見し未知のウィルスを発見。
2人目は1989年、ウィルスのRNAの断片を発見。
3人目は1997年、ウィルスの全遺伝子が入ったRNAをチンパンジーの肝臓に注射して肝炎を引き起こすことを発見。
その後抗ウィルス薬開発にいたったのは2011年以降。
最初の発見からすでに40年!長期にわたってバトンをつないでようやく特効薬に。
一人では解決できないプロジェクトは、最初は雲をつかむような話だったはず。これだけ時間がかかったのだから、失敗した数知れない研究があったのではないでしょうか。
2. 物理学賞を受賞したブラックホールの研究
1人目はブラックホールができるのは一般相対性理論の確固たる予言であることの発見。
2・3人目はほぼ同時期に天の川銀河に巨大質量のコンパクト天体を発見。
1人目、受賞理由からして意味が分からない・・・。
「物質が存在すると空間がゆがむ」と相対性理論の数式は示しており、重いものがあると空間がゆがむから物の動き方が変わってくる、と示したもので、それを数学的に証明したらしいです。
3人目はそれを実測で確認!ブラックホールがあると思われるあたりで、くるっと星の軌跡が大きく変わった。
「観測が始まったころ、多くの人に無理だと言われたのよ!」と、目をキラキラさせて語る研究者が印象的でした。
3. 化学賞を受賞したゲノム編集技術
2012年に発表されたクリスパー・キャス9システム。
キャス9ははさみの役割をする酵素。
中にあるガイドRNAを変更することで切る場所を自由に変えられる。ガイドRNAが見つけた場所でDNAを切ることができる。
これは比較的最近ですが、生物系の研究者は皆が使っている素晴らしい技術!
番組では、難病治療への応用について、日本のiPS研究所での研究が紹介されていました。
目の前の、数か月、せいぜい数年で成果が見込めるプロジェクトであれば、モチベーションを維持することはできます。
でもどの研究も一つの研究で完結ではなく、数十年間、国を超え様々な研究者がバトンをつなぐことで、私たちの生活につながっています。自分の研究がどのように繋がるか、結果のすべては予見できない中で研究し続ける科学者のモチベーション維持力に頭が下がりました。