Umeko's diary

育児も仕事も大切。日々の出来事や、習ったことから得た気付きや学びを書いていきます。

本の感想:父が娘に語る経済の話。家事とお小遣いは結びつけるべきか否か。

「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」を読みました。経済学、というとっつきにくい内容を、世界の歴史の流れとともに物語のように説明してくれる良著です。決して「とんでもなくわかりやすく」はありませんが、固定観念を揺るがしてくれる破壊力があります。

 

  • 暮らしていくのに精一杯だった時代から、農作物の生産によって「余剰」が生まれ、「余剰」を記録するために文字が生まれ、「余剰」が経済を生んだ。
  • ゲーテファウストの物語(悪魔と契約した青年の話)は、利子を伴う借金が悪事だった時代には最後まで救われないけれど、商人と企業家が牽引する市場社会になると借金に対して寛容な風潮になり、物語の主人公は救われる。
  • 「給料が2割カットされた」と聞いた時、賢い経営者は「そんな低賃金だと自社の製品が売れない」と新規採用を行わず、優れた経営者は「他の経営者が採用をやめたら製品を買える人が減る」とやはり採用をやめる。経済は先行きに対する楽観と悲観で左右される。

 

といったように、時代とともに人の考え方が変わり、それが経済社会に影響してきた流れが「へーっ」と納得してしまうように説明されています。

経済は私たちがどう思うかに影響されて形作られる」という気持ちの問題、そして私たちが今当たり前と思っている社会通念は「好き」・「嫌い」といった個々の気持ちよりも根本で時代とともに変わっている、と気付かされました。私自身の価値観も、資本主義がベースの環境によって形成されています。

 

さて、この本の中で、交換価値と経験価値について述べられています。

「交換価値」は商品として売ることを前提につけた価値、「経験価値」は値段が付かないもの。精算手段、土地、労働者が「商品」になったことが、現在の市場経済につながり、経済的なものさしでものごとを見るようになってきました。

作者は乗っていた船の錨が岩に挟まってしまったときに、船長に「海に潜って錨に縄を結んでくれないか」と頼まれ、人助けだと思って喜んで飛び込みます。これは「経験価値」だから。これが「商品」になったらたぶん飛び込まない。値段が付くと価値が下がってしまうことがあるのです

 

・・・これって我が家のお手伝いの状況に似ている。

我が家では、子供達のお手伝いはお小遣いとリンクしています。

  • 定型のお手伝い(掃除、自分の分の洗濯物たたみ等)をやることで一定額がもらえ、やっていないとお手伝いは減額する定額制。
  • 夕飯作りなど、ちょっと特別なお手伝いは、やるたびに数百円の報酬制。

このやり方は、私も助かる、子供達も進んで家事をやってくれる、時には増額交渉もしてくる(=交渉力が上がる)、といいことづくめだと思っていましたが、子供の労働力を「交換価値」に置き換えてしまっています。

最近、子供達から「それは自分の役割じゃないからやらない」と言われ、なんでマンガのけなげな子供達のように「お母さんが大変そうだから洗い物しておいたよ!」なんてことがないのかねえ、と嘆いていましたが、原因はそういう物差しばかりを提示している私にあったのか。

 

 

これからどう経済が形作られていくかわかりません。

最終的な価値観は子供が自分で作っていくものですが、土台は親の意識。交換価値だけでなく経験価値的な意義についてもきちんと説明していかないといけないな、と思いました。